シラバス
2022年秋期
河野惟隆
所得税法入門
専門科目
2
テキスト履修(T)
コロナ危機が近き将来、収束し始めるころ、コロナ禍の中で生じた所得格差を是正し、それと同時に、コロナ禍の前から存在していた所得格差を是正する、という主張のもと、最低税率の引き下げ、中位税率の据え置き、そして最高税率の引き上げ、という税制改定が提案され、その結果として、低所得者の税負担は軽くなり、中所得者の税負担は不変で、高所得者の税負担は重くなる、と解説されるだろう。しかしこのような、一般に見られる解説は間違いである、ということを、テキストで明らかにする。正しい解釈を得たい、という希望を持つことを、『履修条件』としたい。正しい解釈を得たい人を、歓迎する。

【履修登録締切:10月19日(水)23:59】

<税理士受験資格科目>
所得税法の税率に関する条文は、例えば、234万5千円の金額に対して、0.10つまり10%の税率が課される、となっており、この234万5千円の金額を、税法を研究しておられるの大学の先生方や、税法の実務家、具体的には税務署職員や企業の経理部職員は、個人が有する234万5千円全体と考えておられるが、これは誤りである。誤りであることを明確にする。正しくは、一千円のこと、ただし、2,345番目の一千円のこと、さらに、234万5千円の課税所得以上を有する人の2,345番目の一千円のこと、である。この点を明確にする。
所得が大きくなると租税負担率が高くなることを、累進性と言い、これについては学生諸君も聞いたことがあると思うが、これを法律で定めているのは、所得税法であり、具体的には、税率についてとして、定められている。この税率のあり方が、累進性を定めているのである。しかし、この法律で定められている部分については、誤解しかない。テキストで、その誤解を正し、正しい理解ができるようにする。
所得税法の税率に関する条文中の金額、、例えば、234万5千円の金額とは、一千円のこと、ただし、2,345番目の一千円のこと、さらに、234万5千円の課税所得以上を有する人の2,345番目の一千円のこと、である。この点を明確にする。
アフターコロナの税制改定として、「最低税率の引き下げ、中位税率の据え置き、そして最高税率の引き上げ」、という税制改定が提案されると予想されるが、このような税制改定に対して、税法教授、税務署職員、経理部職員、税理士の方々は、皆さん、誤った解説をされると思われる。講義では、これらの誤解を正し、最終的には、あるいは、究極的には、税制改定について明らかにすることを目標とする。所得税法の条文における金額の解釈は、この目標のための、前段階として、必要不可欠なことなのである。
テキストでは、論理的に展開しているつもりなので、論理的な展開に留意して、論理的に、まとめてください。
論文「所得税法の税率表の区分と金額」の3「税率表の改定」のうち「3-1-2 通説による誤解」を1,600字程度でまとめてください。
※「3-1-2」には、3-1-2-1だけでなく、3-1-2-2もあり、前者だけでなく後者も、まとめるようにしてください。

【提出期間:1月23日(月)~2月13日(月)23:59】
100点を3等分し、第1回課題、第2回課題そして科目修得試験それぞれに割り当てる。

【成績発表予定日:3月3日(金)】
河野惟隆著「所得税法の税率表の区分と金額」『帝京経済学研究』第44巻第1号(通巻65号)、2010年12月31日発行

※下記をダウンロ-ドしてください。
http://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/tosho/keizaigaku44-1-10.pdf
河野惟隆著『個人所得税の研究』税務経理協会、1987年。
河野惟隆著『法人税法・所得税法の経済学』税務経理協会、2004年。
法人税法入門。地方財政入門。
所得税法の条文の金額と、それの基づく税制改定を明らかにしておくと、所得税法における他の諸問題も容易に理解できるようになる。給与所得控除、専業主婦が一定収入を超えない範囲でパート勤務をする理由、臨時所得の5分5乗、夫婦について提案される2分2乗、などなど、容易に理解できるようになる。一般に見られる解釈、誤解であるが、それでは、これらの諸問題は、明確にならないのである。
論文「所得税法の税率表の区分と金額」の2「税率表それ自体」を1,600字程度でまとめてください。ただし、2-6「通説による税率表の誤った図示」は除きますが、2-7「税率表の正しい図示―その2―」と2-8「小括」は含みます。

【提出期間:11月11日(金)~11月25日(金)23:59】
論文「所得税法の税率表の区分と金額」の3「税率表の改定」のうち「3-1-1 正しい理解」を1,600字程度でまとめてください。

【提出期間:12月16日(金)~1月4日(水)23:59】